2019年1月21日
プレスリリース
報道機関各位

2つのグローバル・エコ・ヴィレッジ
自然エネルギー発電所の電力の利用を開始

1月から三浦市と静岡県富士宮市の施設にて

横浜YMCAは、2つのグローバル・エコ・ヴィレッジを三浦市と静岡県富士宮市にて展開していますが、この度、この2施設において再生可能な自然エネルギー発電所の電力の利用を開始することになりました。

2007年に、子どもたちの豊かな未来のために、100年先を見すえて開設した富士山YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジ(静岡県富士宮市)は、富士山の西麓、朝霧高原の南端に位置し、広大な牧場跡地に開設しました。近隣は日本有数の酪農地帯で、富士山の伏流水に恵まれた自然環境の中にあります。恵まれた自然環境との共生の中で、子どもたちの未来を豊かに育くむことを目的として建設されました。また、三浦YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジ(神奈川県三浦市)は、2006年から横浜YMCAが県の施設の管理運営を指定管理者として担ってきましたが、2018年4月から民間事業者に運営が移行され、公募により横浜YMCAが貸付事業者として管理運営を行っています。三浦の自然環境を生かした体験活動を通して自然との共存を考える心を育てるとともに、子どもから高齢者やファミリー、そして海外からの利用者にも対応しています。

自然エネルギーを導入することによって、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進めるとともに、グローバル・エコ・ヴィレッジを利用する子どもから高齢者までのあらゆる世代が、自然を大切にする心を育み、持続可能な社会づくり、地域づくりを自分事として捉え、考える機会にしたいと考えています。

自然エネルギーを取り入れ、
SDGs の運動に連なって活動進める

横浜YMCAでは、これまで主要課題としてきた人権や平和、そして環境への取り組みを世界の仲間と連帯して実現していくよう「だれも取り残さない」と提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の運動に連なって活動を進めています。県内施設33カ所(2019年1月現在/指定管理施設を除く/1カ所は静岡県)のうち、先行して、2019年1月2日から三浦YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジならびに1月22日から富士山YMCAグローバル・エコ・ヴィレッジの2施設において地域の再生可能な自然エネルギー発電所からの電力に切り替えを行います。

「顔の見える電力」で、
自然環境の大切さを共に考える社会を創る

横浜YMCAは、みんな電力株式会社(以下、みんな電力)*1と電力契約を締結しました。みんな電力は、電力の生産者の想いや願いを汲み取り、環境、地域、社会に優しい「顔の見える電力」の供給を行っており、再生可能エネルギー100%で企業経営を行う「RE100」*2への企業ニーズにも応えています。横浜YMCAは、「顔の見える電力」を購入することで、地域に根ざした再生可能エネルギー発電所の拡大と持続可能な地域社会づくりに貢献していきます。

また、これらの取り組みを通して、全国のYMCAとともに、「ポジティブネット*3のある豊かな社会を創る」ことを目指している横浜YMCAでは、社会の変化や課題に向かって生きる力の育成を柱とするVISION2020*4の達成に向けて、さらに地域や社会に必要とされる働きを進め、持続可能な社会づくりを進めます。

保育園等への導入も検討、
エネルギーをみんなにそしてクリーンに

横浜YMCAが展開している県内13の保育園や複合的な施設の数拠点への再生可能な自然エネルギーの導入を検討しています。電気を通じてYMCAがつながり、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーン」な社会づくりに努めていきます。

YMCAで電気をつくり、YMCAみんなで電気を使う取り組みへ

将来的には、YMCA発電所により、YMCAの会員やその家族、YMCAに関わる方などがつながり、全国の発電所と連携しながらみんなで電気を使う取り組みに広げていく構想をもっています。

今回選定したみんな電力は、再生可能エネルギー(FIT電気)比率が66%(2017年度)と、日本全体の電源構成(2016年度)15%と比較しても再生可能エネルギー(FIT電気)比率の高い電力会社です。日本各地の大小様々な再生可能エネルギー発電所の電気を仕入れており、東日本大震災の被災地でもある福島県などの再生可能なエネルギー発電所ともつながることが可能です。

横浜MCAは、放射能や温暖化の不安のない、だれもが安心して過ごせる地域や社会の創造を目指していきます。

エネルギーの自給率の改善に寄与していく

経済産業省資源エネルギー庁によると、東日本大震災以降、温室効果ガスの排出量は増加しており、2013年度には過去最高の排出量を記録しています。こうした中、2016年に発効したパリ協定においては、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をすること、そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとることなどが合意されており、パリ協定の中で温室効果ガスの排出量を削減していくことが必要となっています。再生可能なエネルギーは温室効果ガスを排出しないことから、パリ協定の実現に貢献することができます。

また、日本のエネルギー供給のうち、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が8割以上を占めており、そのほとんどを海外に依存しています。特に東日本大震災後、エネルギー自給率は10%を下回っており、エネルギー安定供給の観点から、この改善を図っていくことが重要であり、再生可能なエネルギーは、国産のエネルギーであるため、エネルギー自給率の改善にも寄与することができることにつながります。

<資料1>

【横浜YMCA (Young Men’s Christian Association)について】

1884年(明治17年)に横浜海岸教会の青年によって設立された横浜YMCAは、東京YMCA、大阪YMCAに続いて日本で3番目にスタートしました。

1917年(大正6年)東京YMCAは日本で最初の室内総合体育館をつくり、その中に初めての室内温水プールをつくりました。横浜YMCAでは、横浜で最初に作られた室内体育館を中心に欧米のスポーツが次々と紹介されていきました。バスケットボール、バレーボール、フェンシング、デンマーク体操、バドミントンはこの体育館からはじめて市民に紹介されたスポーツです。中でもバドミントンはスネード主事がアメリカから用具を持ち帰り、廣田兼敏によって日本で初めて紹介されました。

1923年の関東大震災では、横浜YMCAの会館も内部は崩壊しましたが、外郭はかろうじて残りました。この会館を拠点としてボランティアを組織し、被災した人びとへの救済活動を開始しました。桜木町駅前にテントを張り、給水や道案内、応急手当て、安否の確認などの活動を続けました。また会館は応急処理をして、郵便局長の会議や海岸教会、指路教会の礼拝など、公共の集会のために提供していました。

1976年に地域に根ざし、社会教育活動を展開していることが評価されて「横浜文化賞」を、1984年には、神奈川県における文化、スポーツの発展に大きく寄与したとして、神奈川県から「神奈川文化賞」を受賞しました。

YMCAでは、いつの時代にあっても、Spirit Mind Body の全人格的な成長を願い活動を続けています。国連の定めたSDGs(持続可能な開発目標)にも連なって活動しています。

【YMCAのネットワークと横浜YMCA】

YMCAは、120の国と地域に会員を有する国際青少年教育団体です。それぞれの国と地域の課題への取り組みを展開しています。今年で創立135周年を迎える横浜YMCAは、豊かな市民社会の形成をめざして神奈川県下55カ所(指定管理・運営委託含・静岡県1所含む)にて運営を展開しています。

事業内容は、健康教育、語学教育、専門学校、保育、高齢者、オルタナティブ(発達障がい児・者支援)、アフタースクール、野外教育の8事業を展開しています。県内8カ所のプールがあるスポーツクラブでは、子どもたちから高齢者、障がい児・者の豊かな心と健康な体を育む幅広い活動を行っています。

県内13園ある保育園では、約1100名の園児が在籍しています。また8カ所の学童、放課後児童クラブと7つの小学校における横浜市放課後キッズクラブ、私立小学校でのアフタースクールの運営を受託しており、その中で障がいのある子どもとともに過ごしています。

専門学校では、スポーツ、福祉、医療、保育の分野での人材養成に取り組んでいます。県内4校ある専門学校のうち、横浜YMCAスポーツ専門学校(戸塚)におけるスポーツインストラクター、スポーツトレーナーの養成、YMCA健康福祉専門学校(本厚木)の介護福祉士や保育士、福祉スポーツの指導者養成、横浜YMCA学院専門学校(関内)での作業療法士(リハビリ)の養成に取り組んでいます。また、留学生が日本語学科(関内、本厚木、川崎)にて学んでいます。

5施設で展開している高齢者事業では、認知症の方々のグループホームや介護予防講習会などを行っており、その指導にはYMCAのスポーツ指導者があたっています。

このほか、発達障がい児・者のプログラム・就労支援、高等学院、地球市民を育むための語学教育などを展開しています。また、タイ北部での人身売買の危機にある子どもたちやエイズ孤児のための教育、自立支援、医療体制の十分でない農村地域での医療・公衆衛生活動やカンボジアYMCAが実施しているチャイルドケアセンターにおける教育・自立支援活動をサポートしています。

<資料2>

【語句補足説明】

  • *1 みんな電力株式会社
    みんな電力株式会社(東京都世田谷区)は、2011年設立。再生可能エネルギーを主とした電力調達と販売を行う新電力事業、電源開発事業等を手掛けています。再生可能エネルギー(FIT電気)の電源構成比は2018年度計画値で75%(みんな電力ホームページニュースリリースより)。
  • *2 RE100
    事業運営に使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にすることを目標に取り組んでいる企業が加盟する国際的な企業連合「Renewable Energy 100%」の略称。アップル、マイクロソフ ト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スターバックスなど152社(2018年12月末時点)が加盟。日本企業としては、現在、株式会社リコー、積水ハウス、アスクル、丸井グループ等13社が加入しています。
  • *3 ポジティブネット
    VISION (YMCAが実現したい世の中の姿)
    『互いを認め合い、高め合う「ポジティブネット」のある豊かな社会を創る。』

    「ポジティブネット」
    互いの存在や個性を認め合い、高め合うことのできる、善意や前向きな気持ちによってつながるネットワークのこと。
    課題の多い社会のなかで、それは、生きるためのひとつの選択肢となっていく。
    私たち日本のYMCAは、グローバルなネットワーク基盤を活かしてポジティブネットを広げ、希望ある豊かな社会を創ります。

  • *4 VISION2020
    横浜YMCAでは、これからの社会の変化、課題に向かって、「共に生きる力」の育成を事業方針の柱として掲げる日本YMCA同盟の計画に呼応し、VISION2020を策定し、次の3つの基本方針のもとに各事業、各館の中期計画(2016-2020)を策定しています。

    【次世代を担う子どもたち、青少年のために-FOR YOUTH DEVELOPMENT-】
    私たちは、人口減少社会にあっても、幼い時代から家庭や地域での豊かな人間関係が育まれ、自己肯定感の豊かな子どもたちや若者を育むことが社会の基盤となると考え、次世代を担う青少年の育成の働きを強めていきます。

    【すべての人々の健康的な生活を育むために -FOR HEALTHY LIVING-】
    高齢化社会になり、さらに単身世帯が増えていきますが、幼いころから高齢者までの生涯にわたっての健康づくりと人びととのつながりを構築する生活をめざしたヘルシーリビングの働きを強めていきます。

    【人と人、人と地域がつながるために -FOR SOCIAL RESPONSIBILITY-】
    平和な世界が、安定、安心した社会を生みます。共に生きる地域社会を目指し社会の課題に応え、地球市民を育成し世界の人びとをつなぎ、平和を生み出すよう世界を見つめ地域に生きる豊かな地域社会を育む働きを強めていきます。

    この三つの働きを強めながら、これからの時代の要望に応えられるYMCAとなるよう施設、拠点整備、人材育成も計画します。神奈川の地において社会に必要とされる働きを展開し、すべての人に開かれ、すべての人に公平にチャンスがあり、すべての人が自分らしく、その賜物を輝かすことができるよう2020年を目指しています。