みつけられ、つなげられ、 よいことに加えてもらう

横須賀YMCA運営委員 
大野 高志さん

昨年、横須賀YMCAの運営委員に加えていただいた時、「こんな自分ではお役に立たないのに」との思いと同時に「こんな自分を、こんなにも広い働きの仲間としていただいた」との感慨が押し寄せました。私とYMCAとのつながりは、いつも「与えられ、導かれた恵み」であったことを思い返します。

いとこに勧められたままに、進学した大学のYMCAを訪ねました。キャンパスの片隅にある古いチャペルでの読書会。華やかなサークル活動への期待とは〝裏腹〟に、4年を折り返して学部に在籍している先輩と理工学の大学院生が二人で、経済学の教授と丸山真男(日本の政治学者)を読んでいるのです。私には、ちんぷんかんぷんで、やがて出席しなくなりました。するとすぐに、その先輩から電話がかかって来ました。「学生YMCAの企画は都市YMCAの協力なくしてはありえない、あいさつに行こう」と。あれよあれよと所属大学YMCAの委員長の肩書きを与えられ、日本YMCA同盟の「活動推進協議委員」とならされ、私は東京YMCAやワイズメンズクラブの会合などに連れて行かれました。

おかげで、東京YMCAの早天祈祷会にも出席するようになりました。神学校に進むため転居する朝も、この祈祷会で祈って送り出してもらいました。そして何より、そこで、当時の東京YMCA総主事の井口延さんと出会いました。牧師として、任地に悩んだことがありました。同盟の総主事となっておられた井口さんに電話しました。すると一緒に働かないかと、ご自身が理事長をしておられた横須賀の衣笠病院(現在の勤務先)にお誘いくださったのです。それは戦後、数々のYMCAの諸先達が運営の核になって導いた病院への巡り合わせでした。

初めて横浜YMCAの会員総会に出席した時、本当に血が沸きました。言葉を働きにし、働きを言葉にするのがYMCAであるように思います。運動体としてのYMCAの底力を観た思いでした。私はここにいのちをみつけてもらった一人なのでしょう。小さな私を大きな働きにつなげてくれるYMCA。これからもこの運動に勇気づけられ、用いていただけるよう出会いを重ねたいと思います。

(掲載:月刊YMCA News 2022年10月)